普通にどうぶつが好きだったから。シンプルな理由でトリマーを目指しました。初めは動物看護師も考えていたんですけど、血がダメで。それでもどうぶつと関わりたかったので、トリマーという道を選びました。前職では1人でサロンを運営していて、1人でやっていたが故に成長の限界を感じていました。もっと学びたい、成長したいという想いが強くなっていた時に、ちょうど建設中の当院を見かけました。初めは病院の中に入っていたサロンだったので病院のサロンのカットって可愛くないだろう。とも思っていましたが完成後も前を通るたびに、ガラス越しに見えるわんちゃんたちの仕上がりを見てて「可愛いな」って。ブログも拝見して、ここなら新しいことを学べると感じました。元々興味があった看護の知識も得られる環境。一人じゃできないことが、ここならできる。そう思って飛び込みました。


飼い主様と関わる中で大切にしていることは何よりも信頼関係を築くことです。自分もわんちゃんを飼っているので、常に自分の子を預けるとしたら自分なら何をしてほしいか。という視点を忘れないようにしています。信頼関係を築く為に心がけているのは、まずよく飼い主様の話を聞くこと。そして、トリミング中にわんちゃんの様子をよく見ること。気づいたことはお返しの時やタイミングを見て必ずお伝えします。以前はなかった皮膚のできものや、体調の変化など、小さなことでも見逃さないように意識しています。ご利用いただく子を自分の子のように大切に扱うことはもちろんですが、お預かりしている時の飼い主様の不安を少しでも無くしたいですし、信頼し預けていただいているからこそ飼い主様も気がつかない変化に気づける存在でいたいと思っています。
病院併設サロンなので、他では断られてしまうシニア犬や病気の子を対応させていただくこともあります。そうするとトリミングをしてる時は元気だったのに、次のトリミングを迎える前に亡くなってしまうこともあります。亡くなった話を聞くとやはり凄く悲しいです。そんな時、病院だけではなく、サロンの方にもわざわざお電話をいただいて、飼い主様と昔話しをしたりするんですが、思い出が沢山あって、それを飼い主様と分かち合えるのが何度経験しても印象に強く残ります。その時、飼い主様には改めてこれまでのトリミング中の様子だったりとか、喜んで来てくれたエピソードをお話します。なぜそうするのかと聞かれたら、自分だったらこうしてほしいなって思うからですかね。「トリミング中は元気だったよ」「○○ちゃんはこんな子でしたね」と伝えて一緒に思い出を話すことで、少しでも心が温かくなってもらえたら嬉しいですし、これからもそんなトリマーでいたいと思っています。

指名の子や昔から知っている子など、毎日多くのわんちゃんが来てくれていること。好きなわんちゃんたちに会えること。そんな当たり前を一緒に作ってくれているメンバーがいることに、日々感謝しています。だから店長として、自分のできる精一杯ですが、信頼して通ってくださる飼い主様とわんちゃんに対して、そして一緒にお店を守ってくれているメンバーに、これからも丁寧に向き合っていきたいと思っています。また、個人的にも今後取り組みたいのは、シニア犬の受け入れです。今も沢山来ていただいているんですが、やっぱりシニア犬は断られることが多いんですよね。でも、シニア犬にもトリミングは絶対必要だと考えています。うちのサロンは病院併設という強みがあります。だからこそ、他で断られてしまう子も可能な限り受け入れて最後まで綺麗にしてあげたい。医療面でのサポートも受けられる環境だからこそ、安心してシニア犬を任せていただけるサロンでありたいです。
トリマーという仕事を通じて私が届けたいものは飼い主様の笑顔です。わんちゃんが綺麗になって喜んで帰ってもらったら、飼い主さんも笑顔になっている。そんな感じです。13年経った今も、毎回わんちゃんや飼い主様が喜んで来てくれるのを見るとめちゃくちゃテンションが上がります。そんな当たり前をつくるためにはわんちゃんを想うのはもちろん、飼い主様のことも大切に想うのが大切だと感じています。エピソードとしては、子犬の頃から約10年間、当サロンに通ってくれていた子が、ある日突然亡くなりました。気持ちの整理がつかないまま、診察室で飼い主様と一緒に泣いたことを覚えています。飼い主様と長年の思い出を共有できていたこと、一緒に悲しみを分かち合えたことが、この仕事の意味なんだと実感しました。わんちゃんだけでなく、飼い主様とできる限り同じ想いで寄り添えるトリマーでありたい。それが、私なりの理念の体現だと思っています。

わからないことは何でも質問した方が良い。先輩たちも聞きに来てくれた方がアドバイスがしやすいと思います。もちろん動画を見て勉強することも大切ですが、動画ではわからない部分もあるのでやはり直接聞いて、先輩がやっているところを見た方が成長が早いと思います。後は、接客・電話対応なども、飼い主様からどう見られてるか、どう受け取られるかを考えて行動した方がいいと思います。うちのサロンが外から見えるというのもありますが、飼い主様は結構こちらの様子を見ていらっしゃいます。例えば電話で声のトーンを意識するだけで全然違います。トリマーはわんちゃんに向き合う仕事だけでなく、飼い主様とも関わる仕事でもあるので、相手がどう感じるかという視点を常に大切にして、学び続けてもらえると良いですね。

年齢が上がるとやっぱり自分の体もガタがくるので、いつまで続けられるか分からないですけど、やっぱりトリマーという仕事が好きで、ずっと関わっていきたいと思った時に後輩を育てられる力は必要だと感じています。後輩が育てば、自分のやれることや飼い主様にご提案できること選択の幅が広がる。そうするとお店ももっと沢山のお客様から選んでもらえるようになって、またお店としてできることが増えるので自分のやりたいことや挑戦できることも増える。若手のトリマーさんも人に教えることで自分の成長にもなると思うので指導力はやはり大切だと思います。
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